現実がいかに酷いものなのか知っている。
だから恐かった。
疑心が真実に摩り替えるときに、自身の中にある大切なものが粉々になってしまうんじゃないかって。
現実がいかに、残酷なのか君だって知っていた。
心拍の速度が早くなって、全身が石のように重たくなって動けなかった。
ただただ、目の前に冷たい銃を突き付ける。
歪む視線の先、焦点が合って目を細める。
重なった姿に戦慄する後悔して、悲憤する。
まっすぐに、君を見る。
深い碧を彼の赤が見返す。
ちくり、と小さな痛みが胸を刺す。
ちくりちくり、呼吸一つが針となって。
君は守りたかった。何を?
君は壊したかった。何を?
僕は守りたかった、世界を、人を、大切な人たちをー。
君は俺のともだちごっこに付き合ってくれただけで、ほんとうはどう思っていたの?
何もかもが独りよがりだったの?
ルルーシュは、俺のたいせつなともだち。
ルルーシュは?
ルルーシュにとって僕は?
身体が冷たくなって、それでも血はぐつぐつと煮えるように熱く指先へと巡る。
ルルーシュが、薄ら笑った気がした。
息が飲み込めない。喉が渇くからからに。それでも心臓は、大きく鳴り続ける。
僕は、ルルーシュに裏切られたの?
そうだよな。
俺もルルーシュを裏切った。
そうだよな、
ルルーシュも僕を裏切ったんだ!
俺だけじゃない、全てを。彼が見てきた全てを裏切ったのだ!
はっ、はっ、と呼吸の間隔が短くてなってまるで犬のように喘ぐ。
くるしいくるしいくるしい。
どうしてなんできみなんだ。
どうしてどうしてどうしてなの!
もっと早くに気がつけばよかった。
早く、はやく、俺が気がつくべきだった。
ぼくが、おれが!
また守れなかった。
僕のせいだ。
ならばどうしなければいけないのか。
分からないことは考えるな。目の前にあるものだけを、今は見ればいい。
結局、僕とルルーシュの関係なんて形なく分からないことばかりなのだから。
前を見ろ。動揺するな、気付かれてはならない、怯むな臆するな。
何が見える。
そこにいるのは、誰だ。
眩暈がする。吐き気がする。
泣き喚いて崩れてしまいそうになる衝動を押さえ込んで、一直線に彼を捉える。
これはあってはならない真実だ。
ゼロがルルーシュであってはいけないのだ。
僕がやらなきゃいけない。
俺が変えなくてはこんな運命なんて!
僕がその真実を殺してあげる。そうすれば僕のルルーシュは僕のルルーシュのままでいてくれる。
全てを曝け出すことが全てじゃない。そう思う。
大切だから秘密にしてそれによって守られる。
そして曝け出して知られて離れてしまうのが怖くて、秘密にもする。
全てを知ることがイコールで愛とか友情とかにはならない。
しかし人間とは強欲である生き物である。
大切だから知りたい欲しいもっともっと傍に。
後悔して懺悔して、愚かだと自分を罵りながらそれでも知りたいという衝動は止まらない。
隠すことで守り、知ることで守る。
それが二人の「守る」想い。違えた想い。
かたかたと小刻みに銃が震えた。
恐怖に憎しみに悲しみに愛しさもが混ざり合って、冷たい息を飲み込んだ。
もっと早くに僕が気が付くべきだったんだ。
僕のせい。
僕がやらなきゃ、僕が彼を追い詰めてしまった!
もうこうするしかないんだよ、ルルーシュ。
僕を助けてよルルーシュ。僕を楽にさせてよルルーシュ。
凍えた声が空気を震わす。
もう戻れない日々にさよならを告げて。
そうしてようやく、僕らは終焉のステージに立つことが出来る。
序幕から終幕へ