せっかくの誕生日だというのにスザクは黒の騎士団の動向に気をとられっぱなしで相手にしてくれなければアーニャはナナリー殿下の護衛の任があるから、と言って構ってくれない。
「ひどい!私の誕生日なのに!」と子供みたいに駄々をスザクに捏ねてみたが、「ジノ、仕事中だよ」とぴしゃりと言い返されるだけである。仕事中でも戦場にいても誕生日はやってくるものである。
スザクの無頓着な性格にジノはへそを曲げていいですよ、と拗ねて執務室から出ていった。本国からの家族たちからはバースデーカードが届いたが、そんなものはどうでもよかった。スザクに祝って欲しかったのだ、ジノは。
食いついてもスザクは見向きもしてくれないしけど諦めたくもなかった。スザクの誕生日なんて高級レイスランを予約してスイートホテルまで用意して甘い時間を過ごしたというのにこれはないだろう、とジノはうな垂れる。スザクがゼロに執着しているのはわかっているし、気が抜けないという彼の責任感も知っているがやっぱりいくつになっても特別な日には変わらなくて一番好きな人と過ごしたいものだ。
ジノは重たい溜息を吐いて足を止めた。せっかくの誕生日なのに一人ぼっちというのは何かの罰なんじゃないかとさえ思う。
朝からずっとスザクに付きまとっていたが、もう陽は傾きかけている。するとちょうど携帯が鳴って、スザクかと期待したがそれは本国のヴァインベルグ家からだった。
液晶画面に映し出された名前は母の名前だ。ジノはむぅ、と唇を曲げて眉を顰め7コール目でようやく通話ボタンを押した。
身内からおめでという、と言われることも誕生日パーティーが開かれることも毎年恒例ではあったが、今年はこうして遠征中であるため出来ない。それを母は憂いてわざわざ電話をしてきたのだ。
普段はあまり顔を合わすことはないため、こうした機会でないと本家の方には行かない。仲が悪いというわけではないが、分家で育っているため家と思えるのがそちらなだけだった。
夜になったらスザクの時間が空くかもしれない。そうしたらまたスザクの部屋に行って強請ってみよう、とジノは一人ガッツポーズして歩き出した。





しかしジノは一度部屋に帰り、ベッドに身体を放り出してゆらゆらと意識を泳がせていたらそのまま寝てしまっていた。そして目が覚めたのは物音がしたからだ。
ベッドサイドのランプだけが淡く光っており、太陽はずいぶんと前に沈んでしまっていたらしい。11月ともなれば陽が沈むのも早い。ぎしっ、と自分が寝返りを打ったわけでもないのにベッドが何かの重さで軋んでいる音を聞く。また橙色の明かりが時折黒い影で見え隠れしている。
ジノは誰かいるという気配に目を覚ましてようやく自分が寝ていたことに気がついた。
ここは政庁の客間だ。そんな場所に侵入者だとはありえないし、殺気というものは感じなかった。ジノはゆっくりと寝返りを打ちながら薄っすらと暗闇の中に瞳を開ける。
そして見えてきたものが一瞬理解できなくて固まってしまった。ぼんやりと青い瞳の中に映ったその顔はよく知っているものだ。小さな顔に収まったパーツはどれも愛くるしくて齧ったら美味しそうな色をしている。
そこでジノは瞬きをしてからやっと名前を口に出来た。

「スザ、ク?」

なぜどうしてこんなところでスザクが自分の上に跨っているという現状だけはどうしても理解できなかったがここにスザクがいるということは本当らしい。
ふわふわと薄暗い中でも薄茶色の髪を弾ませているスザクと視線が出会うとなんだか恥ずかしくなった。

「ジノ、起こしちゃった?」

スザクは申し訳なそうに呟くとずいっと、顔をジノに近づけてくる。その珍しい積極さにジノは驚いて目を丸めてしまった。普段のスザクなら寝込みを襲うなんて可愛い真似はしてこないが、これはまさに夜這いをされている、と言ってもいい状況だ。
突然のことに思考能力が追いついてこない。
そしてもう一つ、ジノは気づいてしまった。視線をそらした先に映った彼の着ているものがいつもと違うことに。

「あ、あれ?スザク?いや、別にいいんだけど、なんでそんな格好してるんだ?」

「あ、これかい?君が男女逆転祭に参加したかった、て言ってただろ?だから今日、君の誕生日だから喜ばそうと思って着てみたんだ」

昼間はごめんね?と最後に首をかわいらしく傾げながらスザクは言った。そのとおりにスザクは女物の学生服を着ている。アッシュフォードのものではなく、セーラー服だ。キャロットオレンジ色の襟元とプリーツのスカート。その短いスカートから出ている太腿は健康的な色をしている。ごくっ、と思わずジノは唾を飲み込んだ。こんなスザクが自分の上に跨っているなんてあってもいいのだろうか。
その状況をすぐに理解しろというにはさすがのジノでも出来ない。それでもスザクのこんな格好に性欲をささられるわけにはいかない。そのおかしな葛藤にジノは珍しく狼狽した。
当のスザクはそんなジノの気持ちなどそ知らぬふりで、そっと彼の胸に手のひらを当てる。
「ジノ、今日は君の誕生日だ。だから僕のこと、今から好きにしていいよ?」と、そんなことを突然囁かれてジノは急に身体が熱くなるのを感じた。身体とは実に正直である。

「プレゼントが何がいいのかわからなくて、僕に出来ることと言ったらこれぐらいしか思い浮かばなかったんだ。だめかな?」

なんだか今日のスザクはいつもと比べて二倍以上にデレているとか思えないほどで、ジノは慌てて「そんなことないない!」と首を振った。びっくりするほどスザクが自分に甘えている。誕生日だから特別サービスだとしてもこれは本当に夢なんじゃないかと、頬を抓りたくなった。

「ジノ」

甘いスザクの声に呼ばれてまた心臓がドキン、と波打つ。これを拒むのは男としてどうか、とジノは決める。この最高なプレゼントを美味しく頂こうと。
またぎしっとベッドが薄闇の中で意図をもって鳴ると、青色と緑色の視線が出会う。もうすでにスザクの瞳の色は深みを増していて、吐息がとても熱かったことに驚いた。
スザクはジノのインナーの金具を唇で咥えるとそのままジッーという音を立てながら肌蹴させ、吐息をジノのへそへと吹きかける。

「スザク、いきなり?」

ジノは大胆なスザクの行動に困惑と期待を込めてそう呟くと、スザクは「だめかい?」といいながらズボンの前をくつろげた。そこにはもう緩く勃起しているジノの雄がいて、スザクは頬を紅潮させてそれを両手で握ると小さな口へと運んだ。

「んっ、ぅ」

少し苦しそうに息を零したが嫌だからそうしたのではない。大きくて口の中で少しずつ硬くなっていくのを口腔で感じられることに喜んでいるのだ。ざらざらとした舌の表面を使ってジノ性器をアイスキャンディーを舐めるように舐め上げる。苦くてしょっぱい味が味覚を刺激してそれが今度は快楽へと変化して自分の中心が熱くなっていく。ジノの先っぽから溢れていく雫が唇から滴り、根元へと垂れていった。
ジノはスザクが自分のものを咥えている姿を恍惚とした表情で見下ろしている。茶色い髪がふわふわと揺れているのがかわいらしいのにしていることはとてもいやらしいことだ。
夢中になってジノをむさぼっていると彼の手が髪に触れてきて撫でてくれる。それが気持ちよくて僕は目を細めた。
もっとジノに気持ちよくなって欲しくてスザクは喉奥まで肉茎を食んで雫を啜り、添えている手でゆっくりと扱いた。するとジノは苦しそうな息を洩らし、「スザク」と掠れた声で僕を呼んだ。ちらり、と視線を上げるとジノと目があう。
ジノは僕を見て驚いたようにブルースカイの目を丸め、微笑んだ。「可愛い、スザク」
そう言ってジノはスザクの顎を指でなぞった。細くて丸いそのラインを節くれだっていない指先に撫でられるとスザクはぞくぞくと背筋が痺れ、ますます身体の火照りは一人勝手に高まっていく。
スザクはたまらず自分の手を自身へと伸ばす。いつもならズボン脱がなくてはいけないけど、今日はスカートだ。手を伸ばせばすぐそこに自分の熱を感じてしまいジノを咥えながらくぐもった声を洩らす。
それを見ていたジノはにやりと笑うと空いている手でスザクのスカートをめくり、練り色をした張りのある臀部をすすっと撫でる。下着はさすがに女性物ではなかったが、逆にその中途半端さが良いとか思ってしまう私は少しおかしいだろうか、とよぎる。自分で自分を慰めているスザクを見ていてさらに欲情は増してしまい息を詰める。あっと思った瞬間、ジノは辛抱ならずスザクの口の中へと苦い体液を吐き出してしまった。喉へと流れ込んでくるそれにスザクは噎せるが、一滴も零さないように吸い付き苦しげに眉を寄せて飲み干した。頭がくらくらとするような独特の味とにおい。
身体を起こしてスザクが咳き込んで口元を手の甲で拭おうとすると、ジノが頬を両手で包み込んでぺろりと舌を出して口端を舐めた。
「うわ、ひどい味」と、笑いながら零す声を聞いてスザクも「そうかも」と笑う。
ジノはスザクを正面から抱きしめると首筋に顔を埋めてにおいを嗅いだ。汗臭くない石鹸のいいかおりがする。手をスザクが着ているセーラー服の中へと忍ばせて肌を弄る。
ちゅっ、とうなじにキスをして喉、鎖骨へと降りていく。

「やっ、あ」

上着の中に入り込んできたジノの手が薄く平たい胸を撫でるとスザクが短い睫毛を震わせて囁くように鳴いた。なんだかセーラー服を脱がしてしまうのが勿体無くて、ジノは今日は着たままでスザクとセックスしようと勝手に今決める。たまには違うプレイを楽しむのもありだと。それにたぶんスザクは二度とこんな特別なことをしてくれないだろうから。
上着を脱がすことなく、めくり上げて見え隠れしている小さな肉の突起へと唇を寄せて吸い付くとスザクの背中がしなった。

「あっ、ん……あっ」

母乳を吸う赤子のように優しく噛み付いて引っ張ると、スザクが甘く溜め込んだ喘ぎを吐息に混ぜ込む。ジノの手は腹から背中へと回り込み、ゆっくりとスザクの身体をベッドへと倒していった。

「やぁ、ジノ……そんなに吸っても、出ないよぉ」

ちゅうちゅうと音を立てて乳首を食まれていることにスザクは顔を真っ赤にして首を振る。蜂蜜みたいにとろとろと蕩けたスザクのエメラルド色の瞳に魅入られてたジノも熱を浮かべた瞳で見返す。

「かわいい。かわいいなぁスザクは」

かぷっ、と肌に噛み付くと甘い気がしてしまう。ジノは短いスカートに隠れているスザクの太腿へと手を這わしていくと、恥ずかしそうに足が腕を挟んできた。まるで処女みたいだ、と笑うとスザクは「僕は男だよ、こんなかっこうしてるけど」と少しむくれる。

「あっ、ぅ……はっ、あっ」

シーツと身体が擦れる音と心臓の音はやけに大きく聞こえ、スザクは気を抜くと唇から零れる声を噛み締めようとする。それでも歯と歯の間から抜けていく自分のいやらしい声。
彼の手が自分の高ぶりに触れると、さらにその声と身体の熱は温度を上げていき僕はぎゅっ、と瞳を閉じた。長い指先が勃ち上がった肉茎を握りこむと上下に扱いてくる。さっき僕がジノにしたように緩く、激しく。するとスザクのそれはしとしとと透明な雫を垂らして震えている。
ジノの指先が先端を穿ると僕はその強烈な刺激に身体をくねらせて喘いだ。

「あっ、ン、……ゃ、あっ」

弱弱しいそんな鳴き声などなんの抵抗にもならず、余計にジノを煽ることになる。ジノはスザクの膝裏に手を添えて軽く持ち上げると雄を弄っていた指で今度は後ろの小さな窄まりへと目標を変える。
触れたその先を突いて、ぐるりと濡れた指先で一周するとスザクは期待と不安に彩られた溜息を吐き出した。

「あっ、あっ……んぅ、ぅ」

ジノの指先が自分の小さな孔に入ってくるのを感じると、スザクは太めの眉をきつく中央に寄せて唇を手の甲で覆った。鮮やかな色をしたスカートが白いシーツの中でくしゃくしゃになり、乱れた上着のセーラー服から覗く肌はひどく艶かしかった。
入り込んできた指は二本に増えて浅い箇所を出たり入ったりしてスザクの隘路を拡げる。その間もスザクの雄は中途半端にされているため、雫を延々と零しながら根元に伝いそのまま弄られている秘処へも落ちていく。

「ン、やぁ……ジノ、っ」

指の腹で押し広げられる襞がとある一箇所を集中して擦られると、スザクの身体が悲鳴と同時に打ち上げられた魚のように跳ね上がった。
「ここがスザクの一番いいところ、だろ?」
そう言ってジノは執拗にそこばかりを刺激する。いじわるっ、と涙を溜めて告げるとジノが「嫌じゃないくせに」と言い返す。確かに嫌じゃないけれど、気持ちいいけれど気が狂ってしまいそうだった。そしてスザクはどうにかしたくてジノが触ってくれない自分自身へと手を恐る恐る伸ばすと、その手を彼に囚われてしまう。

「だーめ。だってスザクは指だけでもイけるだろ?」

くすくすと声を立てて笑うジノが憎らしかったが、振りほどける力も今の僕にはなかった。そう言っている間にも彼の指が狭い中を卑猥な音を響かせながら掻き回し、ふいに前立腺に触れてくる。
僕は泣きながらジノを呼んで、頭を振った。そんなこと出来ない、と呟いたが本当はもう今すぐにでもきっかけがあれば出してしまえた。けどそれをどこかで指で掻き回されてイッてしまうなんて破廉恥だ、という理性のかけらが残っているから怖くて出来ない。

「あ、ぁっ……だめ、っ」

しかしその今更な細い理性がぷつんと切れてしまうとその瞬間、ようやくスザクは自分を解放した。彼の指によって強く擦られた襞の性感帯は脳内に快楽を伝え、射精のタイミングを知らせる。我慢することなく僕は腹の上に白濁の飛沫を散らして、最初の興奮を味わうとスザクは朦朧とした視線の中でジノを探した。
「ジノ」名前を囁く声は掠れている。ジノはその声を聞いて「なに、スザク?」と優しく答え額に口付けた。それはまるでよく出来ました、と褒めるように。
ジノは十分に熟れたスザクの中から指を引き抜くと、両脚を持ち上げて柔軟な身体を二つに折りたたんだ。細いスザクの腰が浮き上がるとそこに身体を滑り込ませ、一度達したもののまた滾っている熱をスザクのそこへと宛がった。

「うっ、あ……あぅ、ん」

膝が胸にくっついてしまっていて、スザクは苦しげに息を吐きながら訪れる痛みと悦楽の衝動に焦がれる。ジノの硬さを取り戻したそれが力強く自分の中に推し入ってくると、スザクはぎゅっと指先が白くなるほどにシーツを握り締めた。指とは比べ物にならない太さだとわかっていても、こうして現在進行形で感じると新鮮だったし恐ろしい。
それでもじわじわと僕の中に広がっていくものは恐怖ではなくて快楽だ。

「あっ、あっ……あンッ、ゃ」

ジノも狭い場所に嵌めこむ苦痛に眉を顰め、息を噛む。ぽたりと汗がスザクの肌へと落ちて、熱い吐息が空気に滲んだ。ぴくぴくとスザクの足先が引き攣り殺せない嬌声もまた刺激の一つになっていく。
狭いスザクの内部はジノをしっかりと締め付けて襞と襞の間に隙間を作らなかった。奥へと奥へと自らの見込ませるように蠕動している。そのせいか、萎えてしまった雄はもう一度緩く勃起していた。

「スザクはエッチだな、こんな小さな穴に私を銜えて気持ちよさそうにしているなんて」

根元まで埋めてしまうとジノは長い息を吐いてからそう、言葉でスザクを弄る。スザクは耳まで真っ赤にした顔でジノを睨むが迫力はまったくない。生理的に涙を溜めて潤んだ瞳はとても綺麗で艶っぽくてぞくぞくする。もっともっといじめて壊してめちゃくちゃに蹂躙してしまいたい。スザクはそういう支配欲、独占欲をそそられるような淫らな少年だった。

「あん、あっ……っは、ぁあ」

ジノが腰を振り始めるとスザクは堪えきれない鳴き声を何度も零し、身体を揺すられた。
激しく、そして優しく貫かれてもうそこには理性のひとかけらも残っていなかった。ジノに犯されるがまま犯されていたい。このまま二人一つに解け合って同じ気持ちを共有していたい。
爛れた内部からは淫猥な水音が揺すられるたびに響く。ジノ
が擦り付けた僕の体液とジノが中で少しずつ吐き出している精によってそこはすっかり湿っている。

「スザク、気持ちいい?」


ジノはスザクに律動を加えながら耳元でそう囁くと、スザクはこくこくと頷いた。痛みなんかはいつの間にか忘れていて今ある感情は強烈な満足感だった。
突かれるたびに肉が裂けて、けどそのたびに襞は柔らかく熟した果実に実っていく。その瀬戸際の痛みと気持ちよさに全身が麻痺していき、僕は頷いて呂律の回らない声で鳴いた。

「いっ、いぃ……ジノ、いい、よ……あっ」

揺れて滲む視界に金色のジノの髪がゆらゆらと動いているのが見える。息を吸っても吸っても次に吐き出す声と吐息の方が二倍にも多くて熱くて気持ちに身体が追いつかない。
どちらも切羽詰っていて満身創痍だ。

「あっ、あっ」

ジノに突かれるたびにスザクの雄からは雫が爆ぜて、ふいに中で擦られた箇所が気持ちよくてスザクはきゅっとお尻の穴を締める。その締め付けにジノは唇を噛むと勢いのままにスザクの中へと吐精した。スザクの細い身体が流れ込んでくる熱の塊にびっくりして痙攣してるけれど、構わずジノは中へと注ぎ込む。
汗と涙でくしゃくしゃになった顔を見られたくなくてスザクは両手で顔を覆うとしたがその腕を掴まれて、振ってくるジノの瞳の青さに胸はまだまだ高鳴っていた。

「スザク、」

ただ名前を呼ばれただけなのに僕の中はきゅん、と感じてしまいジノを離すまいとする。それがいじらしいのか淫乱なのかわからなくてジノはくつくつと喉で笑った。
するとジノはスザクの身体を繋がったまま抱き起こして自分の上に跨がせる。めくれていたスカートは今でもちゃんと履いているかのようにスザクの下腹部を隠してしまった。それでも瞳は欲情に濡れていて、頬がトマトみたいに染まっていると隠れていても、見えている場所がとても艶やかでそそられる。ジノ手のひらが頬を撫で包み、前髪を掻き上げるとおでこにキスをする。そこから鼻先を齧ると汗ばんでいる頬にもキスをした。
スザクの吐息が自分の肌に触れるのを感じて、ジノはむらむらする気持ちを止められそうにない。

「スザク、もう我慢できない。キスしていい?」

セックスは出来てもいつまでたってもキス禁止ルールが解禁されないこの状態では自分に渦巻く欲望も爆発してしまいそうになる。今日は私の誕生日だ、そんな特別な日ぐらいもしかしたら許してくれるかもしれない、と縋るように見つめるとスザクは目を伏せると小さく、「いいよ」と呟いて頷いた。まさかそんな返事をもえるなんて思ってもみなくて驚いたが、その返事から間を空けることなくジノはスザクの小さい唇に噛み付いた。

「ふっ、ぅ」

スザクはジノの背中に手を回し、じっとしているのが嫌でゆっくりと自ら腰を降り始める。スザクの唇は少ししょっぱくて柔らかいふくらみがあって、ジノはぺろりと舐めるとスザクから真っ赤な舌を見せてきて挑発されるままにジノは舌を彼の口腔へと忍ばせた。スザクの舌を捕まえてざらついた表面を擦り付けあうとぞくぞくと悪寒が背中を駆け抜ける。スザクがどれぐらいキスをしていないのかは知らないが、ジノも長いことしていない。スザクと付き合いだしてからもちろん誰ともこんな行為をしていないからだ。角度を変えて、ちゅっと音を立てて唇の端を吸いスザクの腰に手をあてて突き上げる。

「あっあぅ、あっん」

キスの合間に零れる嬌声は甘く、耳から身体の中を溶かしていき思考を真っ白に染めていく。求められ求め、ただそれだけの行為に没頭し蕩けていく僕ら。
「まるで女の子みたいだな、スザク。いや、今はスザ子ちゃん?」とジノがからかうようにして耳たぶを食んで囁いてもスザクの答えは喘ぎ声だけ。何を言われてもそこまで考える余裕なんてなくて、腰を振り続けることで得られる快楽が精一杯だった。ジノの太い雄が自分の中を力強く貫いてくるこの他では得られない歯痒い苦痛と灼熱に焦がれ身体は震える。

「んっ、ぅ……あン」

キスを求められ唇を開くとジノの舌がまた滑り込んでくる。ぬるぬると動いて歯茎を擦る。
そしてスザクの中も何度もジノの雄に擦り上げられて腫れてしまっているようなひりひりとした痛み。けれどそれはすぐに次にジノを感じるときにはもうなくなっている。

「スザク、スカートを自分で持って見せてよ」

ジノはスザクのスカートの端を持ち上げてスザクの手に持たせると、さっきまで隠れていた結合部分とスザクの勃ち上がっている雄が見下ろすことができた。薄い叢まで卑猥に濡らし、腰を揺するたびに空気中に熱く蕩けた音を鳴らしている。そしてスカートの端を持っていやらしい部分を曝け出していることにスザクは一番の羞恥を感じていた。見られてる、と実感すると急にそうした緊迫感に襲われる。だがジノは休むことなく、さらに煽られて下から激しく突き上げた。
潤んだ瞳の中のジノは薄れていて、スザクは哀願するように何度もジノの名前を呼んだ。それがあまりにも可愛らしくてますますジノはいじめたくなる衝動に駆られる。

「やっ、あ、ひぁ……ジノ、じのぉっ」

縋りたいけれどそれではスカート手放してしまうから出来なくてスザクは手のひらを強く握り締める。支えがなく倒れそうになる身体はジノがしっかりと掴まえていてくれるから大丈夫だった。途切れる吐息と嬌声、繋がる音に感覚全てが犯されて、スザクはそこで二度目の絶頂を迎えた。勢いよく飛び出した精は二人の腹、そしてセーラー服を汚し飛び散る。また、スザクの窄まりがジノをきつく食い千切るかのように締め付けると、ジノは最後に強く腰を打ち付けた。

「あ、あぁっー」

そのタイミングと同時にジノも再度、彼の中に自分の熱情を奔流させる。すでにいっぱいなのに白濁の精が腹の中に流れ込んできて、スザクは絶え絶えになる呼吸でなんとか息を繋ぐとそのまま後ろへと崩れそうになる。それをジノの逞しい腕が支え、腕の中に抱くとスザクは重たくなっていく目蓋をゆっくりと下ろした。

「ジノ……、」

優しいジノの手が自分の髪を梳いてくれている心地よさに浸り、スザクはようやく安堵の息を吐いた。
















「―と、いう夢を見たんだ!なかなかリアルですごかったぞ、スザク!」

「……ジノ、とりあえず歯食い縛ってもらっていいかな?」





                                  


Dream chance!